12月2日(ライオン)
あたたかいのでおねえちやんとふたりでカサカサを探しに行つた。
葉つぱが落ちる季節になると、森はカサカサでおおわれる。むかしはこもれびの森まで行つたけれど、今はもう行かれないので、近くの林のすみつこでカサカサの上を歩いた。
12月12日(カメ)
めつきりと寒くなつた。
けふからボクは、夜だけおうちの玄関に入れてもらふことになつた。
15年間、台風が来ても雪が降つても外で暮らしてゐたボクだけれど、さすがに老体には堪へます。
ありがと……いつか犬のオンガへシがやつてくるかもよ。
おねえちやんは「家のなかではいい子にするんだよ」とさんざん云つて帰つてつた。
12月15日(イヌ)
お散歩をして夕ご飯を食べて気持ちよく寝てゐたら先生とゆいちやんが来た。 ゆいちやんはボクをくしやくしやに撫でまはしたり、ボクの家の中をのぞきこんだり、ますますオテンバになつてゆく。眠いのでされるがままになつてゐるボクのことをおねえちやんたら、「ゆいちやんのことちやんと覚えてゐるのね、知らない人だと怒るのよ」なんて云つてゐる。そりやあ覚えてるけど。 先生まで「こんなにおとなしくしてゐられるなら、麻酔を使はないで歯石を取つてみませう」だつて。それでご飯がおいしく食べられるやうになるならいいけどな。ゆいちやんも歯医者さんは嫌いだつて。
12月17日(ネコ)
おねえちやんに原稿を催促されたのではないけれど、けふは書きます。
けふはひとりで病院に行つた。と云つても先生が迎へに来て連れていかれたわけだけれど。そして歯石を取つたついでにどうしやうもなく悪い歯を抜かれてしまつた。ボクはいい子で暴れないから全身麻酔しなくても抜けたのだつた。
歯石を取る前と取つた後の写真を撮つて、またゆいちやんに遊ばれてクリスマスの飾りと一緒に写真を撮つた。抜いた歯と写真を持つて夕方帰つてきた。
なんだかすつきりしてご飯がよく食べられる。歯と写真は記念におねえちやんにあげやう。