2002年12月

11月 よもだ亭日乗 目次 1月

12月1日(日)

 いただきものの富有柿を食べる。オットは柿とバナナをまったく食べないので独り占めである。でもなんだか張り合いがない。

12月2日(月)

 かねひろ治療院へ行ったら、ちょうど1ヶ月ぶりですねと言われた。亀のヤン君が冬眠して寂しかろうと思い、さいきん読んだ「亀は行く」[amazon.co.jp/bk1]を紹介した。亀の冒険譚です。
 夕食は別館で鍋を食べた。

12月3日(火)

 エボダイが安かったので買ってきた。偶然ながら、ちょうど1ヶ月まえにもエボダイを食べている。
 干物でないエボダイは焼いてもずいぶん水っぽい。このまえはそれがちょっと残念だったので、塩で締めて焼いた。するとわたしの知るエボダイの味にぐっと近づいた。
 塩で締めて水気を取るなんて、まさか自分で思いついたわけでなく。

12月4日(水)

 何にも入れないパンを焼いた。つまり食パン。くるみなどを入れてこねると、生地が切れて醗酵しにくくなるのかと思い、プレーンなパンを作ってみることにした。
 毎回、こねている時間や気温もちがうので厳密にはわからないけど、ふくらみやすいことは確か。膝のうえにボールを載せて、まさに人肌で温めながら読書に耽る。オーブンのなかではちゃんと「かまのび」もしてくれて、このまま上部だけ焦げると困るので、途中からふたをした。焼きあがってから冷めるのも待ちきれず試食。おいしいけど、やっぱりくるみを入れないと口寂しい。

12月5日(木)

 明月院に10時に到着。きのう雨がふったせいか、木や建物から湯気が立っている。まるでお風呂あがりのようだ。さっそく後庭園へ行くと、受付のおじさんは、「ほとんど終わりですがよろしいですか」と遠慮がちに言う。こちらが入る気でいるとわかると、「申しわけありませんね」と頭を下げる。さてはこの御仁、もみじの化身か。

 朝もやのかかった後庭園にいるのはトンビとカラスとスズメとわたしたちだけ。たしかに紅葉は終わりかけているが、緋色の絨毯が敷き詰められているようで、充分にきれいである。表の方で、ときおり庭師のお兄さんがものすごい音をたてて掃除機のようなもので落ち葉を掃いている。このあと『茶寮風花』へ。今日のうさぎ饅頭はちょっぴり大きく見えた。

 鎌倉駅からバスで瑞泉寺をめざす。途中、バスの通れる道がなくなるため、終点から歩く。花の寺といわれるだけあって、冬に来ても、花の季節はみごとだろうと思われるような気配がある。春には朝一番でここへ来てみようと思う。お腹を鳴らしながら坂道を下り、途中にあったそば屋でとろろせいろを食べる。白くて細いそばだった。

 バスで鎌倉へ戻り、江ノ電で長谷へ。大仏に挨拶をする。またお腹が空いてきたので『邪宗門』でケーキ1つとコーヒーを頼む。邪宗門の近くに古いきものの店があり、気になったのでのぞいてみた。安いとはいえ、なかなかその場で思いついては買えない。いつかきもので鎌倉めぐりをしようともくろんでいるけれど。店員さんと一緒に犬が店番をしていたので、おたがいに鼻であいさつをする。

 地図をよく見ると、「かめ公園」「ふぐ公園」「かに公園」などというのがある。これを見てまわるのを今回の鎌倉めぐりの目的のひとつ。地図から察するに、住宅街にあるふつうの公園らしいが、名前を見て、何かがありそうな気がしないでもない。七里ヶ浜駅から始め、坂道をのぼったりおりたり(海岸沿いは傾斜が多い)、痛い足をかばいつつ地図に無い道をさまよい、ここに住みたければもっと鍛えなければと言い聞かせながら「かもめ」「かめ」「ラッコ」「かつお」「かに」「ひまわり」「ふぐ」を見つけた。「かめ」や「かに」はいちおうそれらしい置物があったけれど、他はよくわからない。日が暮れてきたので全部まわるのはあきらめて、墓地のわきを降りて鎌倉高校前駅に戻ると、ちょうど夕日が海に沈むところ。

 鎌倉駅に戻り、夕食を『ボデゴン』で。スペイン風オムレツ、鱈のガリシア風煮込み、ボデゴン風野菜サラダ、バレンシア風パエリア、イカスミのパエリア、グラスワイン赤。

12月6日(金)

 鎌倉のお菓子といえば、鳩サブレー。あまりにも有名なので鳩サブレーのお店は鳩サブレーというのかと思っていたら、豊島屋さんでした。その豊島屋で鳩サブレーと、和風のマロングラッセのような邑落というお菓子を買った。この邑落、洋酒と香料は使わず、独自の手法で仕上げたというのだけれど、その独自の手法が気になる。本物の栗の葉が敷いてあって心憎い。味は天津甘栗のようなマロングラッセ、そんな感じ。

12月7日(土) だって足いたいんだもん。

 寒いので家にお籠もり。お稽古も休んでしもた。月曜日は雪だって。

12月8日(日) 籠城2日目

 オットが外出の帰りに夕食の材料を買ってきた。袋の中を見ると若鶏のスペアリブがある。
「さて今日のメニューは何でしょう。ヒントは人参も買ってあります」
 ちょっと考えてから「スペアリブの人参スープ?」と言ってみたが、そんな料理があるかどうかは知らない。
 こたえはカレーだった。しかもスペアリブはオーブンで焼いてからカレーに入れるのであった。

12月9日(月) 今日はお好み焼き。なんと牡蠣入り!

 冬の鎌倉にはまだ行ったことがない。雪景色見てみたいのだが、そこまでの道のりを考えるとああ……。

12月10日(火)

 愛用していたビーフンが自主回収の憂き目に遭ってしまった。うちに1パックだけ残っていたのを今日食べた。問題だったのはビーフンを入れている紙のトレーで中身は大丈夫、らしいので。

12月11日(水)

 グリーンネックレス、2度目に買ったのは何とか無事に成長している。冬は日中あたたかい時間だけ外に出しているのだが、気がつくと黒いアブラムシがいっぱいついている。この寒いのにベランダでせっせっと虫取り。

12月12日(木)

 新宿で犬の写真展を見てから本郷の弥生美術館へ。その途中、地下鉄の中で12時12分12秒の瞬間を確かめようと思っていたのに、ふと見ると12時13分になっていた。
 弥生美術館は元邸宅でどことなく趣がある。少年探偵団物の挿し絵や原稿を拝見。ラジオドラマの録音を聞く。隣接する竹久夢二美術館も見る。売店に少年探偵団バッジあり。
 銀座の明治屋でカレー粉を探す。ナイル商会のインデラカレー粉というのを買ってみる。銀座の呉服屋はまだわたしにとっては敷居が高い。
 16時40分、『煉瓦亭』の開店時間。すでに何組か並んでいる。自分たちも含めて、みんなあとでお腹すかないかな。オットはカキフライとパン、それに白ワイン。亭主はエビフライとライス。今日はカキが7個。エビフライはナイフで切れない弾力。

12月13日(金) 湯治に行きたい。

 今日はヨーグルト作りと大正金時豆のサラダ作りとパン焼きと人参サラダ作りが一度に重なった。おまけにゴミ収集場所の掃除当番も。いったいどういう日なんだ。

12月14日(土) 

 ナイル商会のインデラカレー粉というのは、ナイル・レストランのナイルさんが技術顧問をされているんだそうですね。ってことは辛いのかなぁわたしには。調べてみると辛みを抑えた商品もあるらしいが、明治屋では見かけなかったと思う。
 今日は足にしっかりテーピングをしてお稽古に行き、赤外線パネルのある場所を陣取る。スタジオの最寄り駅前に『プレタ・マンジェ』ができた。いずれ偵察に行く予定。

12月15日(日) 

 お稽古のまえにさっそく『プレタ・マンジェ』を偵察。
 飲み物以外の商品はすでに陳列されている。サンドイッチ、バゲット、ラップ(トルティアという薄いパン生地で具を包んだもの)等々。どれもなかなかのお値段である。その中からラップの「グリーン・タイ・チキン」というのを選び、レジで飲み物を注文する。  「グリーン・タイ・チキン」は名前のとおりエスニックなラップで、鶏肉、もやし、ほうれん草などが入っている。もやしはたぶん大豆もやし。酢漬け生姜の味が効いている。素材も新鮮でさすがこの値段だけのことはありますな。

12月16日(月) 

 牡蠣専門店の出店が続いているそうです。庶民的なお店もほしいな。

12月17日(火) 

 少しまえにムットーニさんの本「おはなしの小部屋」[amazon.co.jp/bk1]を本屋で見かけてはいたのだけど、原画展のことは今日知った。サイン会は終わっちゃったのか〜。

12月18日(水) よもだ亭日乗予告編。

 明日はフグで〜す。

12月19日(木) ごちそうさま。

 今年は毒の心配なんてこれっぽっちもしなかった。もちろんおろすのはプロだから信頼してるのだけれども、どきどきしながら箸をのばすのがフグを食べるときの醍醐味じゃないかなぁ。お化け屋敷に入ったら恐がるようなもので。ちがうかな。

12月20(金) 
《今日買った本》
西崎憲 『世界の果ての庭―ショート・ストーリーズ』 新潮社[amazon.co.jp/bk1]
武藤政彦 『ムットーニ おはなしの小部屋』 平凡社[amazon.co.jp/bk1]

 吉祥寺のユザワヤで買い物をしたあと、ムットーニさんの「おはなしの小部屋」原画展を見るべく国立へ。カフェと雑貨屋が一緒になったお店の中に、ムットーニさんのオートマタや今回出版した本の原画などがひっそりと展示されていた。これを見たあと店内をぐるっと回って出ようとしたら、お店の人に「ムットーニさんの展示を見に?」と聞かれたのでそうだと答えるとオートマタを動かしてくれた。このあと、ずっと気になっていた帽子屋さんへ行き(入るのがためらわれたので通りかかっただけ)、高層部分の撤去命令が出たマンションを見に行くと、テレビの取材陣と思われる一群がいた。
 一橋大学をほぼ一周する形で駅方面へ戻り、邪宗門で休憩。商店街で先ほどの取材陣が地元の人にインタビューしていた。
 立川のきものリサイクルの店へ行く。住所がうろ覚えで見つからず、電話帳で確かめる。マンションの一部屋がお店になっていてあまり目立たないため、さっきは通り過ぎてしまったようだった。普段着られる紬がほしいとお店の人に相談して、これはと思うものに袖を通す。たいてい古いきものは裄が短くて腕が出てしまうのだが、色が気に入って着てみたらぴったりだったので即決。青地に黒の模様が入っていて、紬のなかでも柔らかい。新品で買ったらきっと普段着にはもったいないからといって、そして着る機会もなかなかなくて肥やしにしてしまうだろう。他には黄色と紫の無地でリバーシブルの半幅帯と、お揃いの柄の半衿と帯締めを買った。安い安い。
 夕食は天ぷら。デパートの中の天ぷら屋さんを何軒かのぞいてから『銀座ハゲ天』へ。席が空くのを待つあいだ、お店の注文を一手に受けて揚げている板前さん(?)を観察する。揚がったものから順番に運んでゆく。コースもいろいろあるし、誰にどこまで出したかどうやって覚えているんでしょうね。しかも人手が足りないときはお客さんにお茶を持っていったり会計もしたり、その間も何かを揚げている。千手観音のような人だった。
 千手観音に別々のものを注文するのも何なので、季節のコースを二人分。大葉、何かのすり身(カレー味)、エビ、チーズのワンタン包み揚げ、舞茸、芽キャベツ、イカ、子持ちシシャモ、牡蠣の磯辺揚げ、カニ甲羅揚げ、アナゴのせんべい揚げ、かき揚げ(小エビ、玉ねぎ、さつま芋)。牡蠣は思いがけないごちそうだった。

12月21(土)

 用事があって朝早く家を出た。お稽古の用意もしてきた。
 雨の止む気配はなく、家に電話をすると雪も混じっているというので、悩んだすえにお稽古は休んだ。けっきょく雪はたいしたことなかったんだけど、もう若くないので無理はしないことにしている。

12月22(日)

 今日はきのうのぶんも頑張るつもりで家を出た。
 お稽古のまえに『プレタ・マンジェ』で昼食。駅前でフリーマーケットをやっているので客入りが多いかと思ったら……。
このまえコーヒー無料サービスの券をもらっていたので、奮発してラップのアボカドパインナッツにした。はじめのうちこそアボカドとナッツの濃厚な味わいに気をよくしていたが、必死の思いで食べ終えた。

12月23(月)

 夕食のあと、無性にプリンが食べたくなった。
 マロンムースの買い置きはあるけれど、プリンがいい。ふつうの、カラメルソースがかかっているのならどんなものでも。
 プリン、プリンと言っているだけで、行動は起こしていない。

12月24(火) プリン食べたのだ。

 今年はよもだ亭でのクリスマスは盛りあがりがいまひとつ。鶏のスペアリブを焼いてちょっとだけ気分を出す。

12月25(水)

 本日は餃子。これからのクリスマスは餃子だね、なんちゃって。
スーパーへ買い物に行ったらきのうまでのクリスマス・モードがうそのように正月一色だった。あまり変わり身の早いのもなんだか興ざめ。

12月26(木)

 友だちと食事。東京駅の近くにしようということで、会社員時代に一度だけ上司が連れて行ってくれた『グリル・シャトー』へ行ってみることにした。グリル・シャトーの牛ヒレのマリネ、というのが呪文のように記憶に残っている。
 年末で予約もしていなかったが、比較的早い時間に行ったので何とか席があった。メニューに牛ヒレのマリネがなくてちょっと焦り、なかった場合の代わりのものを考えてからお店の人に聞いたら、べつにどうということもなく受けてくれた。昔食べた牛ヒレのマリネがどんなだったか忘れてしまった(おいしくて、追加注文したことは覚えている)が、今日のもおいしかった。他には温野菜の盛り合わせ、バレンシア風パエリア、あとから追加でバジリコのスパゲティを頼む。食後のお茶とデザートもここで。
 丸の内側ではミレナリオをやっているらしい。駅で別れたころ、本日の点灯が終了したというアナウンスを聞いた。

12月27(金)

 映画「グレースと公爵」を観る。エリック・ロメールの映画は好きで、久しぶりに観た。フランス革命当時のお話。映画が始まるまえに少し時間があったので日比谷界隈を歩いていたら、偶然、ミレナリオの会場にきてしまった。昼間だから当然イルミネーションはついていない。思ったより電線も目立たず、灯りがついていなくても綺麗にできている。
 松屋で、色物かわいい足袋(1800円)と割烹着(1500円)を買った。準備は着々と進んでいる。
 『レバンテ』で夕食。牡蠣のメニューがいっぱいあって、親切にも牡蠣料理は一目でわかるよう、メニューの字が色分けされている。牡蠣のマリネ、牡蠣のグラタン、ロールキャベツ、自家製ピザ。食べながら今年一年を振り返り、来年の抱負などを語り合う。

12月28(土) お稽古納め。

 年内最後のお稽古。お昼はそれほどお腹がすいていなかったので、『プレタ・マンジェ』では、軽くスライスという小さなケーキですませた。まえに使ったコーヒーのサービス券を次回にご利用ください、と返してくれたのでやってきた。今回は回収された。たぶん年内までのサービスなのだろう。スライスは、アーモンド&ヘーゼルナッツを選んだつもりがオーツ&フルーツだった。そして今度こそアーモンド&ヘーゼルナッツを食べてやろうと、また行くことになるのだろうか。

12月29(日)

 お正月用に甘納豆を買った。これを食べながらお正月は本を読む。

12月30(月)

 お正月が来るまえから胃は荒れもよう。胃は痛くてもお腹はすく。お昼を抜いたあと早めにおやつを食べた。

12月31(火) 割れたむき甘栗ってのも買った。

 今年はすき焼きを控えておそばだけ。



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