2003年5月

4月 よもだ亭日乗 目次 6月

5月1日(木) 遠足2日目。

 ズーラシアは日を改めて日帰りででも行くことにし、今日はまず島田荘司の御手洗潔シリーズ「暗闇坂の人喰いの木」に出てくるくらやみ坂を目指す。桜木町駅の壁画(?)を見ながら横浜方面に歩いてゆく。本にはくらやみ坂で撮影した島田さんの写真が載っており、それと同じ石柱を発見。こういう名前がついているからには昔はさぞ暗かったのだろう。そういえば弥生美術館(文京区弥生)のある所も暗闇坂だった。

 駅まで戻った足でそのまま馬車道へ。御手洗潔と相棒の石岡和己が住んでいるということになっている(仕事場兼用)。にぎやかで、実際に住めそうな所があるのかは不明。お腹がすいてきたので中華街を目指す。

 昨年火災で焼けた萬珍樓の本店が4月17日にグランドオープンしたというニュースを聞いていた。行ってみると、前からそこにあったような感じで新しい建物という感じがしない。というのも正面玄関の外壁は以前と同じデザインだから。再建まで従業員は待機していたのだとしたらすごいなと勝手に感心していたが、サイトを見てみると、一度は店を閉めるつもりで従業員を解雇したのだそうだ。それでもごひいきなお客さんからの励ましを受けて再出発を決め、みんな戻ってきたというのだから涙涙。
 本店に入るのは初めてなので、おすすめのランチコースで一通り味わってみる。南瓜豆腐ポタージュ芝海老風味、2種点心の盛り合わせ、蝦春巻、芝海老のチリソース炒め、もやしエノキタケの合わせそば、タピオカプランタニエ山桃、タピオカ入りミルクプディング、萬珍樓特製烏龍茶。生ビール(キリン一番搾り)。料理を待っているあいだ、広東の家具工場で作ったという花梨の彫刻椅子の手触りを楽しむ。会計のときに開店記念の湯飲み(茶こしと蓋付き)をいただいた。記念に売店で月餅を買う。

 わたしがあるコレクションを探しているときにサイトを通じてお世話になった雑貨屋さんが中華街にある。今回初めてお会いしてなんだか不思議な気分。

 お次はブリキのおもちゃ博物館。おめあてはブリキのおもちゃというより犬。館長さんが飼っているオールド・イングリッシュ・シープドッグのオリバー君とロビー君。姿が見えないのでお店の人に聞いたら「木曜日はシャンプーの日なんです」と。ということは、金曜日に行けば洗い髪さらさらのオリバー君に会える……。エリスマン邸の喫茶室で休憩しようと思ったら閉店時間(4時)10分前なのであきらめ、元町で休憩。

 新横浜まで戻り、ラーメン博物館をめざす。実はふたりして外でラーメンを食べるのは初めて。館内の『熊本こむらさき』で、みそとんこつ(オット)とほそもやし(亭主)、さらにオットはこむらさきオリジナルビールを追加。オットはそれでもまだ物足りなそう。ほんとうに絶好調らしい。わたしはもう十分食べた。

5月2日(金) 

 横浜へ1泊旅行をしてきた。その記録は後日あらためて。
 近ごろの節制の効果だろうか、旅行中はおいしいものをたくさん食べてお腹が疲れるものだけれど、今回とくにオットは絶好調で、ビールもよくすすんだ。わたしもさすがに帰ってから体重が増えていたが、体脂肪は量・率ともにかえって下がっている。
 萬珍樓(本店が4月から再開しました!)買ってきた月餅をおやつに食べる。

5月3日(土) 

 お誕生日サービスの案内が来たのでさっそくかねひろ治療院へ。ここんとこ、腰がかねごんを呼んでいたのだが、葉書がくるのを待っていた。背中も固いと訴えたら「胃ですね〜」と言われた。そこで横浜でごちそうを食べてきたことを素直に白状した。帰るとき、ちょうどカメのヤン君はお食事中であった。
 わたしもご飯を食べなくちゃ、と京八のレストラン街をのぞいてみると、浜辺料理のお店ができていた。釜揚げしらすの湘南丼ぶりに惹かれて入ってみた。たっぷりご飯のうえに、しらすと子持ち昆布とワカメがのっている。1人だしお酒も飲まないので気が引けたけれどお店のお兄さんは親切でよかった。

5月4日(日) 

 オットがモスでもうひとつの期間限定バーガー、ローストポークグラハムサンドを食べたそうで、これがなかなかいけるとのこと。わたしはハーブチキンよりちょっと高いのでさきにハーブチキンを食べたのだけど、こちらはまだ試していない。
 今日はお昼をすっぽかしてお稽古にぎりぎり間に合うといった状態で、しかも朝もさいきんはあまり食べていない。さすがにお腹はすいていたけれど、倒れそう〜ってこともなかった。

5月5日(月) 全国の5月5日生まれのみなさん、おめでとうございます!

 午後から昭和記念公園へ出かけた。
 デパートの地下でおにぎりと柏餅を買う。ちなみにこの日に生まれた人間として柏餅で祝うのは自然なことである。もちろんケーキも食べる。お腹も猛烈にすいているので、おにぎりは3つずつ。売ってるおにぎりってご飯少ないものね。
 立川駅から歩き、公園内で食べる場所を目指してさらに延々と歩く。暑い〜。公園内も人が歩くところはほとんど舗装されている。体高の低いワンちゃんたちがかわいそう。花盛りのポピーにも目をくれず、売店でお茶とビール(!)を買い、木陰にシートを敷いてお昼。食べて落ち着いてみると、かなり食べたという感じがする。そのあとポピーや日本庭園の牡丹を観賞。今日はお子さま入園無料です。お誕生日の人はだめですか〜。
 駅まで戻り、ルミネに新しくできた“イタリアの潮風を感じる”カフェで、ハチミツとマスカルポーネの白いタルトとアールグレイ(オット)、シトラスとオレンジクリームチーズのタルトとコーヒー(亭主)をいただく。イタリアの潮風を感じる店の名はフランス語。
 夕食はスペイン料理の店『タパス』へ行くつもりで電話をかけてみると、電話が転送されて今日はお休みだと言われた。グランデュオへ偵察にゆくと、ゴールデンウィーク中屋上を開放しているというので屋上マニアはさっそく昇る。屋上への階段を上がりきった踊り場で男の子が「疲れて足が痛いからエレベーターに乗りたい」ともっともな理由で泣き叫んでいる(先に降りかけているお父さん、ここが正念場です)。屋上はミニSLやトランポリンといった臨時の遊具を設置している。端っこの方までいって景色を見られる場所が少なくで残念。でもルミネの屋上の方が高いような気がする。
 階段で下の8階へ降りると先ほどの父と息子が「てもみん」に。はたして8階までどうやって降りたのか。てもみんではどちらがマッサージを受けるのか。なかなかのミステリーです。特設会場でアンティークきものの展示をしていたのでのぞいてみると、おしゃれな草履があった。しかも歩きやすいように角度を工夫しているという。さいわい5本指を履いていたので試しに履かせてもらって、購入。こうなったらいつかはきもので外出する日もある、かな。
 中華街の中国超級市場にパイナップルケーキがあった。お土産にもらったのとはメーカーがちがうので、こんど食べ比べてみよう。夕食を『ル・パルク』に決める。点心三昧(蒸しもの:海老蒸し餃子、ニラ餃子、蟹と海老の餃子、イカと大葉の餃子、揚げ物:海鮮春巻き、海老の衣揚げ、もち団子)、チャーシュー饅頭、海鮮餡かけ中華ビーフン、生ビール小、レッドオレンジジュース。柏餅の次はちまき、のつもりだったが、ほかのメニューとのバランスを考えて叉焼饅頭に軍配が上がる。ここで三度目の祝杯。本日特筆すべきビーフンの具はホタテ、海老、イカ、チャーシュー、キクラゲ、サヤインゲン、玉葱と豪華で、麺に腰があっておいしい。いわゆる焼きビーフンとはまたちがった料理でした。
 明日からはまたせっせと節制です。

5月6日(火) 今日はお腹休め

 わたしがコレクションしているというものはプッシュ・パペット(push puppet)です。はじめはプッシュ・パペットという呼び方があるのを知らず、インターネットで検索するのも苦労しました。台の上に人形が載っていて、台の底の部分(バネ内蔵)を押すと、人形の関節がゆるんでクタッとなるやつです。コレクションは木製のものが中心で、集めているうちに自分でも作ってみたくなったのだけど、わたしの場合そこで行き詰まってしまったのでした。
 そんなとき、オットがくれた誕生日プレゼントが自作のプッシュ・パペット。人形(モチーフは植物だけど)部分はビーズ、台座も身近にある部品を代用している。まだ試作段階だというが、台の底を押すとちゃんとずっこける。磨きがかかってお披露目できる日を楽しみに……。

5月7日(水) しみじみ。

 カレー味ビーフンがすっかり我が家の常食となってしまったなぁ。

5月8日(木) 

 亭主も『モス』のローストポークグラハムサンドを食べた。

5月9日(金) なんだか遊んでばっかり、という感想が聞こえてくるような……。

 なんだか寒くてふるえが止まらない。目黒駅で降りておにぎりとおかずのセットを買い、国立科学博物館付属自然教育園へ行く。今日はスケッチをする人を多く見かける。暑くなったらとてものんびり描いていられない(と思うのはシロウトの浅はかさか)から、今はとてもいい季節なのかもしれない。水性植物園の中を通る、いつもお昼を食べるあずまやへ通じる道はカイツブリが巣作りをしているため閉鎖中とな。ちなみに水性植物園にネコが潜んでいたが、大丈夫かいな。それとも警備員さん? ここに棲んでいるカメは人の姿を見ると寄ってくる。わたしたちがやってきたとたんに数が増えてずんずんこっちへ向かってきたような気がした。カメだからカメラ好きなんですかね。今日はスッポンも見えた。遠回りしていつものあずまやでお昼。昭和記念公園へ行くときに買ったおにぎりと比較すると、具は少なめでご飯のおいしさが際だっている。今日は2個ずつ(オットはたらこと梅、亭主はたらこと紅鮭)。教育園の事務所内で「宿毛の竹皮草履」というのを売っていて、ちょっと惹かれたので一足お買いあげ。
 お隣の庭園美術館で「ヨーロッパ・ジュエリーの400年」。ちょうど新館ではミュージアム・コンサートを行う日で時間もちょうどよいので聴いてくる。若手新人に演奏の機会を、という趣旨らしい。演目はベートーベンのヴァイオリンソナタ1番、日本人の小曲、リヒャルトシュトラウスのヴァイオリンソナタ。あまり馴染みのない曲。最後に「タイスの瞑想曲」を演奏してくれたが、これは知っていた。時間も押し迫ってきたので日本庭園を素通りして「カフェ庭園」で休憩。チーズケーキはベイクドチーズタルトという感じでなかなかおいしかった。
 新宿に戻って東急ハンズでオットのアドバイスを参考にプッシュ・パペットの材料をいろいろと検討したあと、『とんかつ三太』へ。思い切って「特ヒレカツ」「特ロースカツ」にしようと思っていたのだが、さらにその上を行く彩の国花園黒豚というのがあったので、それのヒレ(オット)とロース(亭主)のお食事付きセットを頼む。舌に触れる手前からおいしさがムンムンしていた。こんどから特別おいしいトンカツが食べたいと思ったらこれにしよう。
 JR新宿駅の券売機でスイカをチャージしたら反応がものすごく早くて驚いた。なんだか挑戦的である。キオスクで宜保愛子さん死去の見出しを見る。好きだったなぁ。本当に死後の世界に行ってどうしてるのかな。

5月10日(土) 

 お昼はシラススパゲティ。

5月11日(日) 御茶ノ水で神田祭の神輿に遭遇。

 お稽古のあと、空きっ腹を抱えて帰宅し、久しぶりに我が家で夕食。

5月12日(月) 

 太極拳の教室へ向かう途中、「今日のお昼はオムライスだ」とひらめいた。『洋食亭ブラームス』にもずいぶん行っていない。
 亭主はランチメニューに和風きのこのオムライス、オットはインディアンカレー。オムライスの卵はふわふわのとろとろ。これを期待していたわけであるが、味つけが甘いので、あんなにお腹がすいていたのに食べきるのに苦労した。インディアンカレーはライスにもルーもしょっぱい。
 立川中華街の食材店にパイナップルケーキ(鳳梨酥)を発見。お土産にもらったのとはメーカーがちがうが、2種類ある。とりあえずばら売りしている方をお試しに買う。しかしお腹が苦しいので今日のところは食べるのを見送る。

5月13日(火) 

 パイナップルケーキ(鳳梨酥)を食べた。お土産にもらったのが「よそゆき」だとすればこちらは「ご家庭用」。生地がかたいので歯の丈夫な方、顎を鍛えたい方向きともいえます。来週は残るもう1種類を買ってこよう。
 居候シーズー犬サマノスケを連れて多摩川へ行く。途中、塾帰りの小学生に声をかけられるサマノスケ。無表情な本人に代わってわたしが挨拶をする。ついつい、ふだん行かないところまで足を伸ばすので道に迷うこともあるが、今日は大丈夫だった。

5月14日(水) わたしたちお上りさん。だって高いところが好きなんだもの。

 六本木ヒルズ――行ってみた。展望台「東京シティビュー」は、前日にインターネットから予約しておいたが、行列もできていなかったのですんなり入れた。行った先々で記念に太極拳を演武してみたいと思うのだが、瞬間的にポーズを取るだけにする。展望台のさらに上の階で「世界都市」展を見る。東京空撮のフィルム、六本木ヒルズ開発の経緯(なかなか感動)、世界各都市の模型展示は入口でもらった紙製のオペラグラスで覗く。テラスから展望台のフロアが下に見えるところがちょっと優越感にひたれる。
 地上に降りてくるとすでに1時。だがどこに何があるかさっぱりわからない。ちょっと惹かれた『トラヤカフェ』を見つけるのも一苦労。見つかっても大行列。メニューを見ただけで満足したので、お次に『VEGE STATION』を探す。これはハリウッド・ビューティプラザにある。メイ牛山さんのサロンや美容学校があるところ。野菜スープやフレッシュジュース、パンがおいしそう。狭くて初めは席が見えず、お持ち帰りだけかと思ったら奥に席があった。オットは洋野菜のスープセット(6種類のパンの切れ端がつく。どのパンも本格的でおいしかった)、亭主はパンオノアとフレッシュジュース(ニンジンとたしかオレンジジュース)を買って席へ行くと、これから何かの撮影に使うというので、柱のかげの窓際の狭いカウンターへ追いやられる。しかしこれが幸運だったのである。わたしたちのとなりの席、つまりそのカウンターのすみっこに挟まるようにしてぽつねんと坐っていた老婦人はメイ牛山女史その人であった。びっくりするほどたくさん注文して、従業員の人に食べきれないからと振る舞っていた。あとで調べてみると、メイ牛山さんが考案した食事法をベースにした”バー”ということだった。バレエの本番以外ほとんど化粧をしないよもだ亭主は今までとくにメイ牛山さんのファンというわけでもなかったが、近くにいて吸い寄せられるものを感じてしまった。あのすてきな健康バーを作った人とあってはなおさら。撮影に訪れたわたしの知らない有名人ご夫妻に感謝。

 一通り見物を終えたあと、銀座へ向かい、本日開店したユニクロ野菜の『SKIP』を松屋銀座に探す。開店日にしては地味なのは、隣にある健康志向の食品コーナー(野菜もあり)があるからか。
 夕食は『煉瓦亭』で。オットのテーマは「今までに食べたことのないもの」ということで、ビーフシチューを選ぶ。わたしはいつものエビフライ。それにトマトサラダ、パン2人前、ビール。ビーフシチューのビーフ、噛むと芳香を放つんです。ソースとは別のところから。
 仕上げ(?)に『どんパ』で、オットはニッキアイスコーヒー、亭主はコーヒーゼリー。本当は、ニッキのコーヒーゼリーを頼んだつもりだったのだけど、先にニッキアイスコーヒーを頼んだところでニッキを省略したので普通のゼリーになってしもうた。おいしかったので次回はニッキコーヒーゼリーにさらなる期待を。

5月15日(木) 

 レタスをもらっていたので、ビーフンに入れた。味つけはオイスターソースでなくてカレー粉。もちろんシラス入り。
 きのう、電車で人が読んでいた新聞のにキリンのノンアルコールビールの広告がででんと載っていた。オットが買い物を買って出て買ってきたのはキリンモルトスカッシュ。

5月16日(金) 

 あ〜れ〜? あしたパンでも焼くか、って言わなかったっけきのう。夕方、居候シーズー犬サマノスケを散歩させながらそんなことを思い出した。昼間はスーパーのレジで「買い物袋不要カード」を出して会計をすませたあとで買い物袋がないことに気づいた。てっきり落としたんだと思い、来た道をたどって帰ってみるとおいてけぼりを喰らった買い物袋は家にあった。

5月17日(土) よもだ亭本館・別館合同お誕生日会

 きものを着て行く。ほんとうは会社員時代の着付け修行中に買った小紋を着るつもりでいたが、締めるつもりの帯と合わない。これに合いそうな帯が見あたらない。でもってこのまえリサイクルで買った紬を着ることにする。ちょっとこ洒落るつもりが一気に近所へお買い物ってな雰囲気。たしかに行く先は近所なのである。
 シーフードステーキの店があったところに一昨年できた『ウカイリゾート』へ。昔のお店については、昔(わたしの越してくるはるか以前)はほんとうにおいしかったと言われている。越してきてから一度だけ連れて行ってもらったが、「つくづく昔はおいしかった」と聞かされた。
 ほどなく経営者が変わってそのお店は取り壊され、うかいグループのレストランができたのだが、和食のイメージが強いうかいの洋風レストランであるとことや、外観の奇抜さが足を遠ざけていた。今回はじめて足を踏み入れる。
 シェフスペシャルコースを頼み、ワインとソフトドリンクで乾杯。コースの中身は、正式な名前は不明だがだいたいのところ、貝とフランのサフランソース、マダイのカルパッチョ、ウニのクリームスープ、伊勢エビとホワイトアスパラのソース・アメリケーヌ、子羊のグリル、固めのロールパンとひまわりの種入りのパン。食事が終わったところで席を2階に移し、デザートをいただく。注文したものをだまって注文した人のところへ置いてくれるのはうれしい。しかも5月生まれの人が注文したデザートには「HAPPY BIRTHDAY」と書かれたチョコレートのプレートがついてきたのだけど、どうしてわかるのじゃ。
 きものを着つけたとき、「苦しくてごちそうを食いっぱぐれるかもしれない」という予感があったが、それは杞憂に終わった。

5月18日(日) ひっかかる。

 近所に一軒しかないスーパーから、お気に入りの商品がだんだんと消えてゆく。
 アネージのスパゲティ:アネージを知ったのはこのスーパーのおかげであった。が、あるとき忽然と姿を消したので、今ではお稽古の行き帰りに『カルディ』でまとめ買いしてくる。
 ケンミンの焼きビーフンショートタイプ:これは一時期トレーに食品衛生法で禁止されている蛍光染料が検出されたため回収されたが、問題のはある時期に出荷された商品に使われたトレーであって、商品自体は今でも製造され、販売されている。ところがその後いっこうに入荷する気配がない。
 チョーヤの梅酒、紀州(梅の実入り):ある日これとよく似たパッケージの梅酒が仲良く並ぶようになった。思わずまちがえそうになった。オット曰く、もうひとつの方は添加物がいろいろ入っているのであまり飲みたくないとのこと。パッケージの紛らわしさはスーパーの責任でもなんでもないが、これもある日突然、チョーヤの梅酒だけが消えてしまった。
 お客様の声か何かで、お店の事情を聞いてみればいいのだけど……。外出先で買ってきたり、通販で取り寄せたりして間に合わせているので問題は先送りされるばかりである。

5月19日(月) 

 太極拳のあと、オットは麻辣担々麺(汁なしマーラタンタンメン)、亭主は雪菜麺(中国高菜肉入りめん)を食べる。オット、先週に引き続き塩気の多さに難渋する。食材店ではパイナップルケーキ(鳳梨酥)をお買いあげ。

 『きものりさいくる工房五箇谷(ごかや)』さんから宝さがし市のご案内をいただいていたのでのぞいてみる。雨模様でも初日は大盛況。とっかえひっかえ着せてもらってアドバイスをしてもらい、きもの2着、帯3本、帯締めを買う。

きもの1:小紋(袷)。夏物のきものを買うつもりが、柄(ちょっと説明が難しい)が気に入り、お安い(3千円)ので即決。
帯1:アンティークの名古屋帯。ピンク地に獅子が描かれている。最後まで迷ったが、あの獅子がかわいいのでとりあえず。
帯2:朱色の地に亀甲柄の半幅帯。家で着るときは半幅帯が手軽なので目下収集中。
きもの2:紫色の粋な絽の小紋。さいしょに渋い竹の柄の単衣のきものをきせてもらって、悪くはなかったんだけどすでにいろいろ買った(上記)ので夏物はまたこんどにしようと思っていたら目に飛び込んできた。アンティークもので、袖がちょっと長い(小振り袖?)。
帯3:きもの2に合いそうな帯を、となんとなく色だけで博多帯を持ってきて相談したら、アンティークなきものにはアンティークな柄の帯がいいですよ、とさいしょに着せてもらった単衣に締めた絽の名古屋帯をすすめられた。きもの2は紫、この帯は濃い水色。帯そのものは好きだけど、と色の組み合わせを気にしていたら、帯揚げや帯締めを参考に持ってきてくれた。これだけで印象はずいぶん変わるものである。明るいところで見てみたら(きものを置いている部屋はちと暗い)結構いい。
帯締め:参考に締めてもらったもの。
 しめてスーツ一着分もしませんかね。お洋服感覚のお値段です。

5月20日(火) 

 きのう買ったパイナップルケーキ(鳳梨酥)は1袋8個入り(個別包装なし)。生地もそんなにかたくなくて軽い感じ。これはバターではなくマーガリンを使っているからなのですね。これはきのうの話。
 今日のおやつは祖母の里帰りみやげ「薄墨羊羹」。子どもの頃はタルト(洋菓子のじゃなくて、柚子餡をカステラで巻いた和菓子)や母恵夢、薄墨羊羹がごく身近にあって、てっきり全国区の和菓子だと思っていました。新しもの好きのよもだ亭主ですが、昔から変わらずにあってくれるものも嬉しいです。

5月21日(水) 

 おとといあたりから背中や肩の凝りの不快感が増す。きのうは午前中パタッと寝て午後パンを焼いたり掃除をしたりして体を動かしていたら少し楽になった。イヌの散歩で少し濡れはしたが。
 今朝も一度は起きたものの、お昼に起こされるまで眠りこけ、しっかり昼食を食べたあとおやつの時間までまた眠り、散歩の時間を見据えながらゴロゴロして散歩。
 ああ、凝りのない体を取りもどしたい。

5月22日(木) 

 どうも風邪のようだったみたい、とお稽古に来て知った。みんな練習で疲れ気味なのだ。しかし風邪だったとわかったら安心したというか元気になった。練習の後も気分爽快――事故遅延で超混雑の電車にもまれて帰っても。
 練習の前に『ドトール』でミラノサンドC(アボカドチキンと7種の野菜)を食べたが、お腹がすいたのでセブンイレブンでお気に入りのメロンパンを買おうと思ったら売り切れ。

5月23日(金) 
葉カメ(左)と葉テントウ(右)

 サンシャインプラネタリウムが6月1日に閉館するのでお別れに行く。初回の上映が12時だからそのまえにお昼……といっても11時にもなっておらずデパートのレストラン街はまだ開いていない。時間になるのを待って『古奈屋』をめざす。五穀米入りカレー雑炊にもちょっと惹かれたが、初めてなので基本のカレーうどんをいただく。黄土色のとろっとしたスープに腰のある細めのうどん。絹さやが2切れ載っているだけで、あくまで麺とスープで勝負。飲み干した。
 プラネタリウムとわんタッチにゃんタッチふれあい広場のセット券を買い、まずプラネタリウムから。いつもより少しお客も多い。最終番組の「星に願いを」はなかなかの好演出である。これが受けてプラネタリウム存続ってことには……ならないわな。ロビーにかけてある大きな星座時計はどうなるのだろう。わんタッチにゃんタッチふれあい広場のイヌたちはちょっとお疲れモード。
 西武百貨店の屋上にある園芸コーナーと観賞魚コーナーは気合いの入り方が他のデパートの屋上とはちょっとちがう。これだけの数のサボテンを世話するのも大変だけど、ひとつひとつに目が行き届いていて、ほんとうに売り物なのかなと思うくらい立派。観賞魚コーナーでコラソン商会のかわいいピン(葉カメ、葉テントウ)を買う。このまえ来たとき葉カメが売り切れていたのであってよかった。観賞魚コーナーの店員さん、プロの商売人って感じでかっこいい。
 八王子に戻り、夕食はうわさのとんかつ屋へ。まえに一度のぞきに来たことがある。ちょっと鄙びた路地にあり、周辺にもスナックや小料理屋があるのだけれど、異次元空間に迷い込んだような静けさ。玄関と通路に面した腰窓を開け放しており、「をを、夏にゆかたを着て来るのもよさそう」てな感じ。カウンターと座敷があり、座敷にあがる。ヒレカツ、ロースカツ、ヒレ・ロースカツ、海老フライ、盛り合わせ(一口ヒレカツと海老フライ)等々。オットはヒレカツ定食、亭主は盛り合わせ、それからビールを注文。どのように注文したら一通り味見ができるかなどと考えるにはお腹が空きすぎて冷静さが足りなかった。肉厚のとんかつと太くてしまった海老フライ。ああなぜもっと早くに来なかったのだろう。何をためらっていたのだ……。
 八王子の駅周辺を歩いていると英国風のパブが目につく。どういう関係でしょう。


5月24日(土) 

 先日買ったきものを着てみる(きもの1と帯2)。おはしょりはほとんどできないので、そういうものとして着てしまおう。きものは着込んでよれよれになるほど着やすくてサマになるのではないだろうか?! そう考えるとこれはかなりお得なお買い物だった。


5月25日(日) 

 お稽古のあと、これなら一緒に夕食が食べられると思い、電話をかけてそそくさと帰る。家のまえの階段をのぼっていると、どこからか焼き鳥のタレのようなおいしそうなにおいが漂ってくる。どこだろうと思ったらにおいの元はウチである。オットがピーマンのブレイズに醤油を効かせていたのであった。ピーマンひとつでなかなかの満足感。もちろん夕食はピーマンだけではありません。

5月26日(月) 

 太極拳のあとのお昼。今日は慎重に食べ慣れたところにしておこうかなと気持ちがある反面、まえから気になっていたとんかつ屋に行ってみたいと思ったのは、先週の八王子の記憶があるからか。この立川のとんかつ屋さん、道路から少し奥まったビルの狭間にある(どうなっているのかこんどよく観察してこよう)。お昼なのでオットはヒレ、亭主はロースのカツ丼にする。まず4種類の漬け物(梅干し、柴漬け、沢庵、蕪)が入った器が出ると、パセリを載せたキャベツがカツとは別に出てくる。メインが出てくるあいだ、キャベツと漬け物を食べて待つ。葉と一緒に漬けた蕪が自然な味でおいしい。次に茶碗に入ったご飯と味噌汁が来たので、カツ丼なのに変だなと思っていたら、木の枠に入った陶器の皿の中でじゅうじゅういっているカツの卵綴じが出てきた。オットは丼に載せたスタイルが好きだというが、わたしにはこの方が食べやすい(好みに応じてタイプが選べるといいな、なんてね)。かなり歯ごたえのあるしっかりとしたお肉で、つゆが薄味なので、よく食べたわりにはお腹にもたれない。今度は夜来よう。冬場のカキフライも楽しみ。

5月27日(火) 

 そうそう、きのう太極拳の帰りに「焼き栗むいちゃいました」を買おうと思ったら、みごとに売り切れていて、普通の甘栗むいちゃいましたしかなかった。

5月28日(水) 

 今日はパンを全粒粉100%で焼いた(精製粉が少し残っていたのに忘れていた)ら、醗酵のときにおもしろいほどふくらんだ。さすがに精製粉だけでで焼いたときのような、口に入れてとけるような感じはないのだけど、どっしりとして食べごたえがある。
 パンが焼き上がったあと、天気もよいのでオットと一緒にサマノスケを散歩に連れ出す。

5月29日(木) 

 山種美術館へ行く途中、九段下の駅で東京国立近代美術館工芸館のポスターを見かける。「いのちの輝き」展は日本画が中心で、絵に出てくる動物や植物の図鑑的説明が掲示されているのが目新しい。鳩は「非スズメ目」とある。上村松篁の「千鳥」がいたく気に入った。これと伊藤小坡の「虫売り」の絵はがきを買う。印籠も展示してあり、その細工に見とれる。
 美術館でもらった手書きの周辺マップを見ると工芸館も歩いて行けそうである。問題はどこでお昼を食べるか。それにしても三番町にはものすごいお屋敷がいっぱいある。広い道路にはビュンビュンと車が通り、周囲には大きな会社の大きなビルもあるのに、びくともしない貫禄である。竹橋方面とは反対側から工芸館にたどり着く。
 工芸館で、「近代工芸の名作−友禅と型染」と「オーストラリア現代工芸3人展」を観る(オーストラリア3人展の方がメインなのかな)。長板中形染の反物や江戸小紋の、柄が細かすぎてよく見えないところがにくい。工芸館のとなりは、今はなじみとなった北の丸公園である。桜も入学式の季節も終わり、閑散としている。公園内の売店兼食堂をのぞき、ピロシキと中華ちまき、コーヒーと紅茶を頼む。ピロシキもちまきもちょうど2個ずつなので交換する。ピロシキに春雨が入っているのが不思議(あまりよく知らないので)。
 次の目標は赤坂の虎屋本社。虎屋ギャラリーで展示を見たあと下の虎屋菓寮で和菓子をいただく。さんざん悩んだ末、あんみつはまた今度ということにして、オットは季節の生菓子と煎茶のセット、季節の羊羹と抹茶グラッセのセットを頼む。生菓子の方は見本を持ってきてくれて、その中から選ぶ。食べないものでも中身の説明を聞けるのが楽しい。そこでオットはピンクの桃の実のような「紅抓羊羹」を選ぶ。亭主の季節の羊羹は時期によって決まっていてその名は「風の薫」。羊羹盛り合わせみたいなセットないかな〜。駅へ戻る途中、赤坂見附界隈を散歩してみた。わたしたちの馴染んでいる街の雰囲気とはずいぶんちがって、日本語の通じる外国にいるような気がした。
 『テンガロン』へ行くまえにちょっと時間があったので無印良品へ寄ったら、オットが浴衣を見つけた。へえ、と冷やかし半分で見ていたらいつの間にか買っていた。

5月30日(金) 

 さっそく無印の浴衣を着てみる。無印でも、麻の葉柄なんです。麻の葉は麻の葉だが、線がくねくねしているところがちょっと岡本太郎風。色は鉄色。いつかは勝負浴衣も誂えたい。
 夕方、いったん着替えてオットとサマノスケとお散歩。もうすぐ実家にもどれるそうなので、最後のお別れに多摩川に連れて行く。川を眺めていると、バケツを持った少年が土手からのぼってきたので「なに獲れるの〜」と聞いてみた。「獲ったんぢゃないよ、散歩させてたんだよ」バケツの中には大きなアカミミカメがいた。川にくぼみをつくってその中に浸けてやっていたらしい。
 ふたたび浴衣に着替えて夕食。オット、新発売の黒ヱビスに舌鼓。

5月31日(土) 

 台風は温帯低気圧になったとはいえ、いつもならお稽古に行くべきかと悩むような雨である。しかしわたしは行った。
 体重も少し軽くなって、そろそろ先生も気がつくかなと思っていたら、「細くなったけど相変わらず軟体動物」と言われた。
 『モス』のディナーセット、わたしには「帯に短し襷に長し」である。えんどう豆のスープ(ニョッキ入り)としっかりしたサンドの組合せが欲しい。

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