2000年10月

9月 よもだ亭日乗 目次  11月

10月1日(日)


10月2日(月)


10月3日(火)


10月4日(水)

 ずっと前に買った參鶏湯の賞味期限が今日切れる。食べられるのはいつの日か。もうちょっとは大丈夫だと思う。


10月5日(木)

 午前中は仕事。お昼に『カンパーニャ』へ行く。カルボナーラ、ミートソースとパルメザンのスパゲティを注文する。ランチセットには目もくれず、単品のスパゲティだけ。あいかわらず冷房がよく効いていて、その分あたたかいスパゲティがおいしく感じられる。ここのカルボナーラはなつかしい味がすると思ってよく考えてみたら、そう、卵かけご飯の味だ。買い物をしたあと『』で休憩。ストロングブレンドとダッチコーヒー。夜は発表会の練習。本番まであと2日。


10月6日(金)

 実家へ留守番に行く。明日は早起きをして犬の食事と散歩。そして発表会。目覚まし時計を2つ用意する。


10月7日(土)

 5時前に起床。犬の朝ご飯と散歩。時間がないので家にあった酒饅頭を持って出る。9時に楽屋入りで、おそらく発表会が終わるまで外に出られないので、昨日パンとお菓子を買い込み、飲みものを買い足す。待ち時間にパンやさしいれのお菓子を口に放り込む。ただし化粧がくずれないように気を使うので一苦労。
 無事に発表会が終わり、オットと待ち合わせて帰宅。オットも夕食抜きですべての上演を見たというので、帰りながらお菓子をつまむ。帰ってから夜食に温かい素麺(自家製めんつゆに麩と海苔)を食べた。


10月8日(日)

 きのう発表会を見にきた友人が、本人が収穫したというレタスと茄子をくれたので、夕食は麻婆茄子とレタスのスープ(春雨、わかめ入り)。ちゃんと夕食を食べたのは久しぶり。これからまたしっかり食べて体力づくりに励もう、と発表会が終わるといつも思う。


10月9日(月)

 2日つづけて朝寝坊。朝食が遅いため、昼はお茶とお菓子。夕食も昨日に引き続き茄子とレタスを使う。オクラを加えてカレー風味の炒めもの。あえてサブジと言うのは避けておこう。


10月10日(火)

 実家で近所の知り合いからもらったという白茄子をもらって帰り、半分は輪切りにしてオリーブオイルで焼き、残りは味噌汁に入れた。


10月11日(水)

 田舎から栗が届いた。どうやって食べようかな。甘くない栗おこわ、ふつうの栗ご飯、渋皮煮などなど。去年も手にケガをしたりマメを作ったりしたけれど、そのくらいで栗への情熱が冷めることはない。


10月12日(木)

 西武ギャラリーの「SNOOPY in Museum」を見る。デパ地下でお昼の栗おこわを物色する。おこわのお店は二店あったが、値段も内容もほとんど同じ。栗と金時豆だけの甘そうなおこわを一人分(250g)買って、屋上へ。池袋の西武百貨店の屋上は広い。パラソルつきのテーブルがたくさんあって、ちょっとした社員食堂風でもある。ここでおこわと、家から持参したいただきものの赤福で甘い昼食を済ます。
 デパートで服を買うことはめったにないが、参考のために紳士・婦人服売り場を歩き、この冬は何を揃えようかと計画を練り、お腹がすいたところで新宿小田急の『とんかつ和幸』へ。今期初の牡蠣フライを食べる。実はお店に入る前に『旬花』をのぞいたら、栗釜めしが出ていたので(3週間前にはまだなかった)、ちょっと迷った。迷いを振り切るように、今日はエビ・カキフライ定食でもロース・カキフライ定食でもなく、「カキフライ定食」。席に坐ってメニューを開きもせずに注文した。


10月13日(金)

 腰が不調。実家へ行って犬の世話はいつもより簡単に済ませ、帰りにかねひろ治療院へ行く。
ふつうの腰の痛み(ふつうの腰痛って何だ?)が「からっと明るい腰痛」だとすれば、この坐骨神経の痛みは暗く、じめじめしている。
 夕食は宿題の參鶏湯を片づける。製造から賞味期限まで約18ヶ月。期限を10日過ぎてもそれは誤差の内だとはオットの説。前に缶詰の參鶏湯を買ってあまりおいしくなかったので、このレトルトにもなかなか手が出せずにいた。こっちは結構いける。でもやっぱり『グレイス』で食べたのが忘れられない。


10月14日(土)

 早起きをして(といっても7時半)、午前中は仕事をして、午後から八王子の伝統芸能である車人形の公演を見に行く。会場へ行く道すがら、うろこのようなおもしろい雲を発見する。夕食は『とうふ屋うかい』でとうふづくしの料理。メインはざるとうふと豆水とうふ。ざるとうふはできたてで温かい。何もつけずに食べてもおいしいが、塩をつけると甘みが引き立つという説明を受ける。豆水とうふは中のとうふを食べたあと、豆水(豆乳?)を一生懸命「湯葉うちわ」であおいで湯葉を作りながら食べる。ちょっと時間がかかるので他の料理を食べながらせっせとうちわをあおぐ。ぜんぶ湯葉を作っていては時間がないしもったいないのでそのまま飲んだりした。やっぱり貧乏性。



10月15日(日)

 先日もらった栗を入れて赤飯を炊いた。去年の反省をいかし、栗を持つ左手に手袋をはめて栗の皮をむいたのでケガはなし。いっぽう栗むき器を持った右手は今年もやはり皮(手の皮)がむけた。家で食べる栗は素朴な味がする。ああおいしい。



10月16日(月)

 昨日は夕食後に巨峰を食べた。そして今日も栗赤飯と巨峰を食べる。秋の味覚に心奪われていながら夏にも未練が残っている。夕食のおかずは蓮根のブレイズ。ポテトチップスみたいでいくらでも食べられる。グリーンアスパラガスの蒸し焼き、今年春になってからアスパラガスを食べるのは初めてではなかろうか。旬ではないかもしれないけれど、とうもろこしのような甘みがある。それからあさりの酒蒸しには忘れないようにすだちをかける。それと大根おろし(鰹節、しらす、すだちをかける)。


10月17日(火)

 実家に行くと、このまえおすそ分けした栗が茹でられて出てきた。巨峰も食べた。
 夕食は別館に招待されているので実家から直行。秋刀魚の塩焼き、すだち、大根おろし、ほうれん草と菊の花のお浸し、炊き込みご飯(鶏、さつま芋、里芋、しめじ、他いろいろ)、ぬか漬け(きゅうり、蕪、茄子、パプリカ)、ぶどう(甲斐路と巨峰)。


10月17日(火)

 実家に行くと、このまえおすそ分けした栗が茹でられて出てきた。巨峰も食べた。
 夕食は別館に招待されているので実家から直行。秋刀魚の塩焼き、すだち、大根おろし、ほうれん草と菊の花のお浸し、炊き込みご飯(鶏、さつま芋、里芋、しめじ、他いろいろ)、ぬか漬け(きゅうり、蕪、茄子、パプリカ)、ぶどう(甲斐路と巨峰)。


10月18日(水)

 仕事が片づいたので、物置部屋となっている北の部屋の片づけをする。森茉莉全集が梱包されたまま積み上げられ、恨めしそうにしている。茉莉さんの場所を作ろうと思い、しかたなく里子に出す本を選定する。お別れの記念に写真も撮った。古本屋に電話をすると、わたしの告げた量では取りに行かれないという。しかし一人でとうてい持って行かれる量ではない。里子たちは段ボールに入れられたまま部屋に帰った。茉莉さんが収まる場所はまだない。
 夕食は鍋。乳清を使いたいので味噌鍋にする。


10月19日(木)

 メソポタミア文明展を見に世田谷美術館へ。行き方が面倒そうなので後まわしにしていたところ。電車を3本乗り換え、用賀から美術館へノンストップの直通バスがあったのでそれに乗る。砧公園の中にあって静かないい環境にある。見おわったあと公園の売店で買った焼きおにぎりと肉まんをベンチ(テーブルつき)で食べた。帰りは駅まで歩いたら、意外と近い。迷ったり道草を食ったりしなければ10分くらいでたどりつくんじゃないかと思う(バス230円分ってこんなもの?)。
 これで世界四大文明展をすべて制覇したことになる。スタンプラリーも完走。そして今日は素敵な印章のペンダントを買った。もちろんレプリカで高価なものではないが、この文明展のあいだずっと印章に惹かれていたので嬉しい。インダス文明展のときは気に入ったのがなくて買わなかったんだもんね。
 その足でちょいと有楽町阪急でやっているミッフィー展「Miffy 45th Bruna Gallery」をのぞく。阪急の向かいにはニュー・トーキヨーの本社がある。本社にある店は新宿でなじみの顔ぶれとはちょっと違う。おめあての旬花はないが、牡蠣は鍋で大活躍のもよう。どんパで休憩。ホットコーヒーとニッキゼリー(ニッキ入り水出しコーヒーのゼリー)を注文する。
 新宿へ舞いもどり、『旬花』でふたりとも栗釜めし膳を頼む。単品メニューにカキフライを発見する(もちろん注文)。栗釜めしとカキフライ、夢の饗宴がここで実現するとは。四大文明制覇のお祝いとなった。
 ああいい休日だった、あとは帰るだけ……のつもりが、階下の(ここは新宿小田急)三省堂書店に足を踏み入れてしまった。そこで村上春樹・柴田元幸共著「翻訳夜話」を見つけてしまい(正確には見つけてもらってしまった)、帰りの電車バスのなかで読みふけった。


10月20日(金)

 昼は実家で犬の相手。赤飯のおにぎりと麦茶をもらい、丸谷才一さんの講演会へ行く。実物の丸谷さんは、和田誠さんのイラストそっくりだった。


10月21日(土)

 まだ栗が残っている。早くむいて食べなくちゃ。


10月22日(日)

 高校の友人と久々のランチ。待ち合わせた町田東急百貨店のレストラン街では九州の物産展が開かれている。今日集まるメンバーの中には結婚して九州に住んでいる者(ただいま帰省中)がいる。昼食のあとはケーキバイキングをしたいというその友人のリクエストにより、食事は軽く済ませるつもりで物産展の中にある食事コーナーで極細長崎皿うどんの大皿(3人前)を4人で食べる。4人でもちょっと多いくらい。実は、最初に待ち合わせに現れたわたしを含む最初の2人は、他のメンバーを待つあいだ、物産展で梅ケ枝餅を買って食べていたのだった。現在九州在住の友人は「これおいしいの」と言ってびわゼリーを買っていたけれど、九州へ持って帰るつもりだろうか。
 友人と別れ、帰り際にルミネのオー・ファン・パレというタルトのお店に寄る。待ち合わせの前にちょっとのぞいて目をつけていた。ケーキバイキングのあとでさすがに迷ったものの、栗のタルトと木の実のタルトを買って帰る。


10月23日(月)

 栗入り赤飯第2弾を炊くべく、残りの栗をむく。手の皮もむく。あずきは古いので長めに茹でる。炊きはじめてからタイマーをかけ忘れた。それでもあずきのいい色が出てなかなかよくできた。


10月24日(火)

 久しぶりに海老を食べた。海老は大好物なのに、近ごろ他のものを食べるのにいそがしくて忘れていた。


10月25日(水)

 スーパーが1割引の日なので、あれこれ買いだめしようと思ったら、アネージの胚芽入りパスタがなくなっている。またどこか他でさがさなければならない。近くにはここしかスーパーがないというのに、だんだん足が遠のいてゆく。
 昼は残りわずかなアネージを茹でて、もらいもののハムの切落としと、残りもののブロッコリーを入れてちょっとぜいたくなにんにくスパゲティ。それでも物足りない気がするなんて、食欲の秋だなぁと思う。
 夜は別館へ出張料理。餃子を作る。市内にある、ステーキハウスが取り壊されているという。かつてここの舌平目のムニエルは非常においしかったのだそうだが、わたしが越して来たころにはシェフが変わったのか味が落ちたといって、1度行ったきりだった。ああ幻の舌平目。


10月26日(木)

 ずっと前にもらって大事にしまっておいた栗の甘露煮、賞味期限が近づいてきたので栗きんとんを作る。作り方を調べてみると、材料にみょうばんとくちなし実などと書いてある。そういえば、去年栗の甘露煮に挑戦したときのが残っているではないですか。
 砂糖1カップとある。そもそもうちに砂糖がない。甘露煮のシロップは砂糖水だし、それで足りなくてもさつま芋と栗ならじゅうぶんおいしい、と自らを励ます。栗は切らずに丸のまま入れる(子どもの頃からの夢だった)。できたものは、甘みは十分。ボソッとしているけれど、水あめ入りのべとべとよりずっとおいしい。ただ、ボソボソタイプには細かくした栗の方が合っているかと思う。


10月27日(金)

 神田古本まつりへ行く。この前本を処分したばかりだけれど、古本まつりは本をさがしに行くというより雰囲気を味わって、ついでにおいしいカレーやさんに入って、疲れたら暗い喫茶店でコーヒーを飲んでこようというもの。が、いつのまにかしっかり予算の上限を決めて戦略を立てている。もしかするとこの日のために本を整理していたのだろうか。
 まず、これはと思う店を覗き、買うときめたら(迷っているものも)店名をメモしておく。青空掘り出し市や、店頭においてあってなくなりそうなものはその場で買うのが鉄則。ひととおり見て回ってから昼食。
 『エチオピア』でエビカリー(亭主)と野菜カリー(オット)を注文。全般的にとてもスパイシー。今回は中辛にしたけれど、これなら甘口でもかなり手ごたえがありそう。エビカリーは小エビがたくさん入っていて、何度すくってもエビと一緒に食べられる。大きいのがデーンと入っているのもそれはそれで贅沢だけれど、食べるのがやっかいだったりする。
 力をつけたところで目をつけた本の回収……その前にタキイに寄ってパセリの種を買う。本の方は、道楽で訳している小説の参考になりそうなものだけにした。なんとか予算の範囲内。全部で7キロ(29800円……量り売りではありません)。
 戦利品をもって『ラドリオ』へ。ここのコーヒーはアイスかブレンドかウィンナーコーヒーできわめて単純。それぞれウィンナーコーヒーとブレンドを注文する。本を宅配便で送ろうかということになったが、あとから届いては感動も冷めるので頑張って持ち帰ることにする。
 新宿で本をロッカーにあずけ、いつものように街を巡回し(線路をながめながら持参の栗きんとんを食べた)、デパ地下でアネージを発見する。普通の胚芽入りとは別に、さらに胚芽を強化したというスパゲティと、胚芽入りリングイネがある。重いけれど買ってしまう。夕食は高島屋にある『玄海』へ。意外なことに高島屋のレストラン街で食事をするのは初めて。栗釜めし、かに釜めしをそれぞれセットで注文。セットには前菜(かぼちゃの煮物、卵焼き、何かの赤い実(蛇苺のような外観で、中に梅のような種がある)、鶏肉、菊のような葉っぱが1つの皿に載っている)とまぐろの佃煮、それからお新香(大根、たくあん、小茄子、きゅうり、小梅、柴漬け)と赤だし味噌汁(なめこが入っていたと思うのだが、わたしはなかったと思う。何かの葉っぱが入っていたはずだがオットは記憶にないという)、おこげをお茶漬けにするための薬味の胡麻とねぎ、急須に入った出汁。デザートはバニラアイスクリーム。


10月28日(土)

 さっそく昼食に昨日買ったアネージの胚芽強化スパゲティでにんにくスパゲティを作る。胚芽の強化のほどは食べてもちょっとわからないけれど、ふつうの胚芽入りより少し太めで、食感としては細い方が好み。でもおいしい。
 注文していたビタミンガーデンが届いた。このもやし栽培器はデザインが洗練されている。見ていて楽しいし場所もとらない。あとは作ってみるだけ。


10月29日(日)

 さぶい。
 夕食は鯛の兜焼き。バラバラだけれどいちおう尾頭つき。頭一匹分を二つに割ったものと尾が二つ、その他アラが入って200円。これだと尾がたりなくなるんじゃないかしら。


10月30日(月)

 牡蠣を買ってしまった。舞茸といっしょに塩・胡椒をしてオリーブオイルをちょっとたらし、ホイルに包んでオーブンへ。加熱した牡蠣と舞茸は、見た目がどこか似ている。すだちをかけて食べる。今年の冬のテーマは家で作るおいしい牡蠣料理の研究。


10月31日(火)

 別館へ出張料理。鯖の味噌煮、キャベツと椎茸とシシトウの炒め物、春菊のごま和え、大根おろし、持参の栗きんとん(栗なし)、雑穀飯、ぬか漬け(蕪、蕪の葉、きゅうり、茄子、パプリカ)、紅玉、オットにはビール(キリンビール職人)。
 10月は長かった。発表会ももうずっと昔のような気がする。



<<よもだ亭日乗 Home  <<よもだ亭日乗 目次