2001年11月

10月 よもだ亭日乗 目次 12月

11月1日(木)

 明日は健康診断のため、今夜9時以降は水も飲めない。明日はもちろん朝食抜き。
今夜はまだいいとしても、明日の朝は試練。うっかり食べてしまいそう。

11月2日(金) 健康診断は不健康

 栄養の補給もできるバリウム、開発されないだろうか。朝食を返せ〜。
 健康診断が終わった後、『カンパーニャ』へ。毎年同じルートをたどっている。オットはカルボナーラ(去年も同じ)、亭主はボローニャソーセージのトマトクリームソース(これも去年とほぼ同じ)。
 『埼玉屋本店』で白花豆と大正金時豆の新豆を買う。
 重い荷物を背負って駅前まで引き返すともうへとへと。風邪が治りかけの亭主と風邪を(うつされて)ひきかけのオット。『』で珈琲ゼリーと珈琲パフェを頼む。珍しくいつもの席はふさがっている。
 おとなしく家に帰って消化の良いものを作ることにする。見かけはリゾットだが、材料以外の水分を一切使わずに調理するスチームド・ライス。草食ディナーだった。

11月3日(土)

 祭日なのでお稽古は休み。
 白花豆のサラダを作ってさっそく昼にいただく。夏の暑さで消えかかったパセリも復活してサラダに色どりをそえた。

11月4日(日)

 一進一退を繰り返していたアーモンド、神田で買ってきた木酢液の効果かハダニも姿を消してきれいな葉が出てきた。柿の種を蒔いたカニのようにわたしは歌う。

11月5日(月)

 カラフルな切り餅を食べた。かぼちゃ、青海苔、よもぎ、茶色のは椎茸か。
モッツァレラチーズを載せてオーブンで焼いたら、チーズはとけるわ餅は膨らむわ、でもオーブンから出したらあっというまにしぼんでしまった。おしい。

11月6日(火)

 乳清寒天はあるが渋皮煮はもうない。メイプルシロップをかけて食べたらおいしかった。小豆を煮てかけてもよさそう。
 雑誌をぱらぱらとめくっていたら、パイ生地の代わりに玄米を使ったキッシュを見つけた。ライスバーガー風にというかきりたんぽ風にすればいいのかな。ライスピザなんていうのもできそうではないか。

11月7日(水)

 肉だんごのスープを作っていてはたと思った。鶏で取ったスープに豚挽き肉、これは他人肉だんごスープだ。
 「他人丼」という呼び方は、修学旅行先の京都で初めて知った。お昼に入ったお店のメニューに載っていて、頼みはしなかった(頼んでとんでもないものが出てきたら困ると思った)けれど、誰かがお店の人に聞いたのだと思う。鶏肉以外の肉に卵をかけた丼? 主に牛を指すのだろうか。要調査。

11月8日(木)
《今日買った本》
『Ruby プログラミング入門』オーム社[bk1/amazon.co.jp]

 カラヴァッジョ展へ。
 天気が良いので、まずお隣の国立科学博物館付属自然教育園へ行く。ここの自然は野生児みたいだ。それぞれの植物が好き放題に生えていて、名札がどの植物を指しているのかわからない。ほんとうはそれが自然なのだろうけれど。「あきのうなぎつかみ」というすばらしい名前の札の周辺は枯れ草ばかりで実物がわからず。去年ここに来たときには、これから植物の名前を覚えようなんて思ったのにまったく進歩していない。
 教育園内で昼食。駅ビルのお惣菜屋さんで買った栗おこわと豆腐団子、コンビニで買った飲み物、昨日近所のスーパーで買ったヤマザキの「マロンのロールケーキ」。おこわは栗だけのシンプルなもの(たいてい金時豆も入っていたりする)で、甘すぎずにおいしい。
 カラヴァッジョ展。敷地内に見慣れない彫刻。安田侃の野外彫刻展も催されている。旧朝香の宮邸内に入るといつもそうなのだが、美術館としての展示品より邸内のあちらこちらが気になってしまう。
 銀座へ。『煉瓦亭』が銀座一丁目にもあるというので偵察してみる。カキフライあり。先日新聞で、銀座四丁目交差点あたりのビルの看板が不景気で空いているという記事を見たがそのとおりだった。そして銀座コアにある『カフェ モーツァルト』でマロンフェアをやっているのであとで来ることにする。
 夕食は『煉瓦亭』の本店の方。オットはカキフライ、亭主はエビフライ。ふたりともパン。亭主はライスを頼むことが多いのだが、マロンフェアを念頭に置いている。それにしてもここのエビフライはどうしてこんなにおいしいのだろう。魅力を最大限に引き出してもらえるエビもきっと喜んでいるにちがいない。牡蠣ももちろんおいしいけれど、ここではオットに任せておく(ひとくちいただき)。
 仕上げは『カフェ モーツァルト』のマロンフェア。オットがモンブランプリンを選んでくれたので、残された選択肢の中から迷いに迷ってモンブランを頼む。栗はプリンになってもおいしい。

11月9日(金)
《今日届いた本》
ジョアナ・ラス 小谷真理『テクスチュアル・ハラスメント』インスクリプト[bk1/amazon.co.jp]

 終日雨。夜、コロンボシリーズのDVD上映会を開く。玄米おにぎり、ハマグリのオーブン焼き、納豆のライスペーパー巻き、蓮根のブレイズ、そしてポップコーンを作って敷物を広げる。一作目の前半でたいらげてしまった。
 今日見たのは『パイルD3の壁』と『黒のエチュード』。テレビ放映でカットされた部分も入っていて、そこだけコロンボ役の声優さんが違う。

11月10日(土)

 今日も雨。そして寒い。だんだんお稽古に行く足どりが重くなる。
 『モスバーガー』は、きのう新メニューが出た様子。カレーチキンフォッカチャ(フォッカチャは胚芽入り)セットを注文してみる。ガラスケースに目をやると、!!!モンブラン。頼むのはもはや使命だろう。

11月11日(日)

 横浜トリエンナーレ2001最終日。もういちどバッタを見ておきたい。巨大バッタは会期終盤には浮上ができなくなっていたらしいが、昨日と今日は地上に設置されているという。頭部の横にファスナーがついていて、そこを開けて体内を見せてもらえた。撮影するオット。最終日なのにまだ募金のお願いをしている。
 昼食は中華街で豚まんを買い、店の向かいの交番の脇でぱくつく。
 昨年の夏に来たときに入った中国茶のお店、この春には社長さんが亡くなられたとかで休業していた(先月通りかかったら再開していたのでほっとしました)。前回は大きなかき氷を食べただけだったので、今回はお茶をいただく。馴染みの薄い食べ物飲み物が多いので、たいていのお客は店員からメニューの説明を受ける。店員さんもさぞかし覚えるのに苦労したことだろう。お茶が来ると次はお茶の入れ方飲み方の講義を受ける。あっちのテーブルこっちのテーブルで繰り返されるので、だいぶくわしくなる。わたしは香りも楽しめる包種茶、オットはプーアール茶を頼む。しかし各自が別々に飲むのではなく、二人でひとつのお茶を飲んでから(順番はお店の人が決める)、お茶替えをして次のを飲む、というシステム。
 七年もののプーアール茶は、灰汁が出るので一煎目は捨てる。捨てたお茶に急須を浸けて保温する。これがおいしいプーアール茶というものか。今までうちで飲んでいたのは……。湯のみはお猪口くらいの大きさで、急須でひとり二杯分。四五回は出るというので、ひとつのお茶で十杯、計二十杯。気がつくと一時間はあっという間に経つ。

 東京に舞い戻り、夕方はバレエの先生の公演(今日はこちらがメインのはずだった)。夜は『ルパ』で白目米インドカリー。

 バッタ(飛蝗)のサイトThe Insect Wolrd(まだまだ資金難)

11月12日(月)
《今日届いた本》
サイモン・シン『暗号解読』訳・青木薫 新潮社[bk1/amazon.co.jp] オット購入。

 気温が低くなると気分も冴えないので楽しいことを考える。
 夏には枝豆を作り、秋には栗の渋皮煮を作って暮らしたい。

11月13日(火)

 まだ10度以下にもならないのに寒いと愚痴を言ったらまた風邪をひいた。
 夕食は蕪とサゴチのグラタン、納豆のライスペーパー巻き、お味噌汁、玄米ご飯。量はいつもと同じくらいなのに、とても食べきれそうにない。風邪が胃に来たのだろうかと心配していたら、「おやつに月餅食べたじゃない」とオットに指摘された。そうだった、そうだった。

11月14日(水)
《今日届いた本》
原田紀子『着物と日本人』平凡社新書[bk1/amazon.co.jp] 

 明日は七五三。先週の日曜日にちらほらとそんな親子連れを見かけた。
 わたしの七歳の七五三のときは地毛で日本髪を結い、おばあちゃんが着物を仕立ててくれ、着つけてくれたのだった。しかし、それよりも一番印象に残っているのは、写真屋さんでの記念撮影のおり、千歳飴がもうなくなってしまったので、飴の入っていない空の袋を下げて写真を撮り、代わりにボンタン飴をもらったことだ。

11月15日(木)
《今日買った本》
『平成十四年 高島重宝歴』[bk1/amazon.co.jp]
『きものに強くなる』世界文化社[bk1/amazon.co.jp]

 風邪は相変わらず。家でおとなしく仕事しながら、せめて夕食だけでも、と地元のレストランを物色する。
 午後、立川で買い物をしつつ夕方『ハシヤ』南口店へ。北口店がフロム中武の中にあって、そこで牡蠣メニューがあることは確認している。ところが出されたメニューに牡蠣が載っていない。注文を取りに来られて焦ったが、勇気をふりしぼって「牡蠣のメニューは」と尋ねると、別紙のメニューを持ってきてくれた。オットはカキのトマトソーススパゲティ、亭主はカキと中国野菜のにんにく風味お醤油味。それから山の幸のサラダとオットに生ビール。共に牡蠣は5個ずつ。なかなかおいしい。
 中央線に乗ろうと思ったら電車が事故で止まっているというので、伊勢丹にある『エミリー・フローゲ』で休憩する(に入ったのは高島屋の方)。メニューの表紙を飾っていたプティ・モンブランを食べる。てっぺんに載っていた栗の渋皮煮がいつのまにか消えていた。確かに食べたはず(オットは取ってないと言う)なのだが、記憶がない。
 立川中華街で買った十年もののプーアール茶(何年物と書いていない方が若干高いのはなぜ)、横浜で習ったとおり、一煎目を捨てて二煎目を飲んだら、おいしかった。今まで捨てるべき一煎目を飲んでお茶の葉を捨てていというわけ。

11月16日(金)

 きのう、スパイス売り場にあったガーリックを買ってみた。粒の細かさに段階があって、買ったのはグラーニュールという一番細かいの。にんにくは好きでけっこう使うので、これならあれにもこれにもいろいろ使えそう。
 まず、昼食のにんにくスパゲティにかけてみた。もちろんいつもどおり普通のにんにくを使った上で。さらに夕食では蓮根のブレイズにもパパパッ。
 先日、オットが買った『暗号解読』は、第1章「スコットランド女王メアリーの暗号」を読み終わったところ。合間をぬって少しずつ読んでいるのだが、本文が始まるまえ(つまり「はじめに」ですね)からわくわくしている。暗号の歴史がこんなに古いとは思わなかった。オットは一日で読んでしまったが、もったいないのでゆっくり読もう。暗号の謎解きもわかりやすくて(1章はまだ序の口なのか)、これならわたしにも、という錯覚さえ起きる。

サイモン・シン『暗号解読』訳・青木薫 新潮社[bk1/amazon.co.jp]

11月17日(土)

 実家へ。ここに来ると玄関のドアをそおっと開ける習慣がついてしまった。今でも犬がそこで寝ているような気がする。松山の薄墨羊羹を食べる。すだち、わかめ、しらすなど、田舎のおみやげをもらう。

11月18日(日)

 今日は久しぶりのダンドリーチキン。ソース(?)がお肉によく馴染んでいておいしかった。

11月19日(月)

 渋皮煮を作り出したころから、毎日甘いおやつを食べるのが習慣化してしまった。変わった栗のお菓子を見つけると、今しかないと思って買ってしまったり。
 発表会も終わり、冬は体重が増えるのはあたりまえ、と気がゆるんだのもまずかった。そのうえたてつづけに風邪をひいて体を甘やかしている。
 冬こそ体を鍛えるチャンス、というのはわかっているんだけどなあ。

11月20日(火) よもだ亭のうろんな客

 きのうからわが家に姿の見えない珍客がいる。ちょうど鉢を置いているあたりから「キーッ、キーッ、キーッ」という鳴き声が聞こえる。昼間ベランダで日に当てていた植物を中にしまうときに入ってきたのだろうか。どんな姿をしているのか、声を頼りに見まわしても見つからない。
 今朝また鉢を外に出して虫のことをすっかり忘れて掃除機をかけた。あとになって思い出して、もうどこかに行ってしまっただろうなと思っていたら、また鳴きだした。ここで越冬するつもりでしょうか。

11月21日(水)
《今日届いたCD》
Michael Mantler『Hide and Seek』(Words by Paul Auster)

 冬はほうれん草が安いのでせっせと食べる。別館でほうれん草のブレイズを作ったら、いつもよりおいしかった。鍋の違いか、ほうれん草か。今日のはとてもおいしかったと素直に言った。いつもうちで作っているのだっておいしいんだってば。

11月22日(木)
生きている伊勢エビ

 親戚から伊勢エビが三匹送られて来た。誰もさばいたことがなく、オットに白羽の矢が立った。
 とりあえずさばき方や調理法を調べる。刺身もおいしいらしい。わたしにとって伊勢エビとは、結婚式などに出てくるあれ。自分の本番では食べ逃し、残念なことをしたので、一匹は鬼殻焼きを希望した。
 氷水に浸けて、動きが鈍くなったところで包丁を入れる。血は出ないし内臓の処理もないから生きた魚より簡単そう、というのが端から見ていた感想。一匹を希望どおり鬼殻焼きに、残る二匹の胴体を刺身に、二匹の頭はひとつを具足煮(頭部だけれど)に、残る頭と殻は出汁を取って身をほぐして雑炊にした。
 淡白なフグの刺身に比べると、伊勢エビの刺身はエビらしい味がする。このくらいのエビになると、足の身だって食べられる。そして夢の伊勢エビ鬼殻焼き、エビ雑炊……。エビに恩に報いるため、すみずみまでいただきました(写真にカーソルを合わせてみよう)。

具足煮 伊勢エビの刺身 伊勢エビの鬼殻焼き エビ雑炊、撮り忘れ。
11月23日(金)

 新宿御苑へ。祝日だけあってにぎわっている。もみじやイチョウの紅葉が美しい。池のほとりに三脚がずらーっと並んでいる。カメラ会社主催の撮影会か、有名人か、と思ったらもみじだった。ベンチを見つけて、コンビニで買ったおにぎりの昼食を食べる。鳩ではなくカラスが寄ってきて、じっと見つめられていた。
 朝食のポーチドエッグを掬う穴あきおたまを探している。網のおたまだと、白身がくっついて洗うのが大変なのだ。大きさや形の適当なのがなかなか見つからなかったのだが、東急ハンズでちょうどよさそうなのを見つけた。何用なんだろうとタグを見てみたら、「網だと汚れを落としにくいという人のため……」だって。ポーチドエッグをきれいに掬いたいと思っている人なんていないのかなぁと思っていたので、何だか嬉しくなった。
 立川へ戻って夕食はにんにく料理の店。和風サラダにんにく醤油ドレッシング、薄焼きガーリックピザ、ガーリックライスコロッケ、牛タンの塩焼き、ナシゴレン(かすかにケチャップ味のする焼きめしのようなもの)、銀河高原ビール。銀河高原ビールは、酵母が生きていて、にんにくの匂いを消すという宣伝つき。それぞれの料理のにんにくの量はそれほどでもないが、食べているうちに、にんにくの入っていない料理を食べたとしてもわからないくらいになってきた。

11月24日(土)

 夜は谷山浩子コンサート。シエナ美術展も観ておくことにする。
 ICカード式イオカード「Suica(スイカ)」を昨日から使っている。はじめはくそ真面目にカードが見えるように改札機にタッチしていたが、電波を妨げる硬貨や他のICカードなどが近くになければ、カード入れのケースをそのまま触れさせるだけでピッと反応する。あとで券売機で使用履歴印刷もしてみたけれど、ペラペラの感熱紙ではなくて切符と同じ材質の紙で出てきた。
 まず東京ステーションギャラリーでシエナ展。絵画オンチにも非常に興味の持てる内容だった。冠を持った天使の彫刻とでもいうような額縁が見事。中の絵は何だったろう。個人的には「蝋燭の光に照らされて、カードと演奏をする人たち」がお気に入り。煉瓦に囲まれた暗い部屋に飾られていたので演出もよかった。
 夕食は、カキフライに目覚めた東京駅名店街の中の『とんかつ和幸』で。時間が早いのであたりをぶらついていると、資生堂パーラーを発見。かつて栗のお菓子を買った雑誌の通販にイタリアの焼き栗も載っていて、それを資生堂パーラーで売っていると書かれていたことを思い出した。ふつうは冷凍で売っているのだが、お試し用で小袋に入ってそのまま食べられるのを売っていたので買った。ちょっと(かなり)嬉しい。で、夕食はカキフライ定食(オット、牡蠣5個)、カキヒレ定食(亭主、牡蠣3個にヒレカツ)。
 コンサートを聞いて、帰宅。さっそく焼き栗を食べた。天津甘栗より大きくて、ふつうの栗よりちょっと縦に長い。焼くときに割っておくのか、ひびが入っているので剥くにも指がいたくならない。お試し用の袋は、歩きながら食べてもそのままゴミ袋に使える様な工夫がしてある。天津甘栗くらいどこでも手に入るようになるといいな。

11月25日(日)
《実は昨日買っていた本》
チャールズ・マックフィー『みたい夢をみる本』講談社
KAWADE夢ムック『作家と犬』河出書房新社

 お稽古へ行く途中、荻窪でカルディへ寄ったらマロンムースというババロアみたいなお菓子を見つけてしまった。とりあえず買う。
 オットは『てんや』で念願のかき天丼(牡蠣3個)を食べてきた。もう少しいい牡蠣だったらな、ということです。てんやさん、お願いします。

11月26日(月)

 そろそろ、年末年始に読む本を考えなくては。
 ここ数年は、年末に出ていたパトリシア・コーンウェルの検死官シリーズを読んでいたのだが、今回は新作が来年に発表されるらしい。いくらなんでもそれを年内に日本で翻訳、出版するのは無理な話。買ってまだ読んでいない本はたくさんあるけれど、この行事にふさわしい本となると探すのはむずかしい。
 寝ながら読めるブックスタンドはちょっと飽きたので、本を読みながら食べたいお菓子、読書に安心して熱中できるお正月の食生活などを考えてみよう。

11月27日(火)

 朝、雲ひとつない青空。
 今日はおやつに、カルディで買った蔵王高原農場のマロンムースを食べた。甘くて上品な味。
 したがって(?)夕食は質素に麻婆かぼちゃ。豆板醤がなかったのでコチジャンを代用した。

11月28日(水)

 仕事のあいまに、ダンベルを持ったり腹筋をしたり。眠くなったらトレーニング。
 別館へ出張料理に行った。ご飯は油揚げと生姜を炊き込んだものだった。おいしいなーと思いながら食べていたら、だんだん生姜の辛さが効いてきてたまらなくなった。わたしの舌は生姜や大根おろしの辛みには敏感に反応するらしい。何かの役に立てばいいのに。

11月29日(木) いざ鎌倉
御用達ボデゴン茶寮風花追加しました。

 今週が紅葉の見ごろだというので鎌倉行きを思いたつ。
 ふたりで鎌倉へ行くのはこれで三度目なのだが、どうも前に訪れたところを中心に回る習性があるらしい。横浜しかり。
 今回もなつかしい場所で意外な新発見がありました。それはまた明日書きます。

***(一夜明けました)

 朝、夜が明ける前に起きる。9時20分ごろ藤沢駅に到着し、江ノ電に乗換える。海の見える側に坐れた。鎌倉高校前、七里ヶ浜あたりに来ると目の前に海が広がる。海の向こうには陸地がなく、見えるのは水平線だけ。

 長谷で降りる。鎌倉の邪宗門が長谷寺のすぐそばにあることを知ったので、見るだけ見てくることにする。今まで行った邪宗門は世田谷荻窪国立。しかし鎌倉の邪宗門は存亡の危機に見舞われている。まだ時間が早かったのでお店は開いていなかった。こんど来るまで残っていて欲しい。

 高徳院で大仏様にご挨拶。あいかわらず凛々しいお顔だちでいらっしゃる。肩甲骨あたりにある扉があいていた。
 高徳院の近くのお店にマロンソフトクリームを売る店発見。写真だけ撮って大仏坂を登ってハイキングコースを目指すが亭主は早くも弱気。山の斜面を視界に入れながら足元の危ないところ歩くというのは苦手である。坂道が嫌いというのもあるけれど。らせん階段もだめ。トゥ・シューズも慣れるまで恐かった。そのくせ展望台は好き。ハイキングコースを抜けるとステキな住宅が並んでいる。ここなら海を見て暮らせる。

 銭洗弁天に寄って化粧坂(けわいざか)切り通しを下る。お腹は十分空いているのに食料を持っていない。とにかく駅の近くまで行くことにするが、いつたどり着けるかわからない。亀ヶ谷坂を通って北鎌倉でおそばを食べる。

 明月院へはお茶の時間あたりに行こうと考えているので、来た道を戻って建長寺へ。再来年が建立750年にあたるとかで目下工事中。境内を散策して、まえには通らなかった道を歩いて行くと「展望台」という案内板を見つける。目の前の階段を見て、登る決心をする。階段を上がりきるとまた階段。いさぎよく引き返しかけると良心が「それでいいの?」と囁くので思い返して先に進む。上がっても上がってもまだ階段。階段が見えなくても登っている人が見える。そのぶん紅葉が美しい。登りは必死で愛でる余裕もなかったけれど。山の上では天狗の像がお出迎え。最後の階段を上がると、ここからも海が見える。

 次はお目当ての明月院へ。まえに訪れたときに近くの喫茶店で食べたうさぎ饅頭が気になっていた。お店の名前も覚えていないし、まだあるのかどうかもわからない。御用達にも載せてみたことはあるけれど、また行かれるかどうかもわからないのでしばらく伏せていた。

 うさぎ饅頭の『茶寮風花』はあった。明月院に行ってからにするかちょっと迷ってやはり先に入ることにする。このまえはいなかった、ちょっとかわいらしい女性が注文を受けに来る。たしかまえは男性がひとりでやっていた(少なくともその時は)。奥で男性がお饅頭を蒸したりお茶を点てたりコーヒーを煎れたりしている。あの人がまえにいた影のあるマスターなのかどうかわからない。亭主はコーヒーとうさぎ饅頭のセット、オットは抹茶とうさぎ饅頭のセットを頼む。「うさぎ饅頭は栗餡です」とその女性が他のお客に説明している。クリアン? と耳をそばだてる。出てきたうさぎ饅頭は確かに栗の味がした。まえのことはまったく覚えていない。あんなに気になっていたのはうさぎの栗餡に呼ばれていたのか。

 明月院の佇まいが気に入っている。
 本堂の壁に丸い穴が開いていて、その向う側にある紅葉が見える。大きな丸い額縁にかかった絵のよう。ちょうど後庭園を公開している(菖蒲と紅葉の季節に公開。別料金)。3時で閉めてしまうという(入った人の退出は3時半)というのでぎりぎり滑り込んだ。
 本堂の壁の穴から見えたのは後庭園の紅葉だった。山に囲まれた別世界。中央の菖蒲畑は今は株だけになっている。奥の方に行くと恐ろしいほどの静寂。自分の耳がどうかしてしまったのだろうかと思う。キツツキが木を突く音。 不思議なことに、この後庭園の本堂に近い側と奥の方では静けさがちがう。奥の方にいると庭園にいる人の声も届かない。しばらく雰囲気を味わっていると、庭の隅に「Taro」と署名のある奇怪な模様の椅子らしきものがある。岡本太郎がなぜここに?

 明月院に別れを告げて、バスで鶴岡八幡宮へ。住所を頼りに、夕食をとる予定のスペイン料理の店『ボデゴン』を探す。見つけたので安心して、開店まで境内や商店街をぶらぶら。

 開店同時に『ボデゴン』へ。ご主人と奥さん(?)が二人でこじんまりとやっている。壁やテーブルはスパニッシュ・タイル張り。マッシュルームとにんにくのオリーブ油いため、タコといわしのマリネ、牛舌のボデゴン風煮込み、バレンシア風パエリアとイカスミのパエリア、グラスワインの赤を頼む。お勧めイカ墨のパエリアはみごとに真っ黒。何も見えないけれど、トマトの味はわかる。お皿に残るオイルが黒くないのが何とも不思議。おこげもおいしい。オリーブオイルをふんだんに使っているのに淡白で飽きがこない。実はスペイン風オムレツも食べたかった。ぜひまた来ることにしよう。

11月30日(金)

 きのうは3万歩以上歩いたにもかかわらず、筋肉痛もなく元気さわやか。
 本日の夕食はビビンバ用の石焼き鍋で残り物を使った韓国風焼き飯。おこげがおいしい。



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